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遺産分割協議
遺産分割協議とは、遺言による相続分の指定が無い場合、相続財産について誰がどの財産をどの割合で相続するかを、相続人全員によって決める話し合いのことです。
協議の結果を相続人全員の合意として書面にしたものを「遺産分割協議書」といいます。遺産分割協議書は、後々のトラブルを防ぐための証拠書類にもなる上、相続で引き継いだ不動産の移転手続き等でも必要になる書類です。
遺産分割協議の留意点
遺産分割協議は、相続資格のない者(相続放棄や相続欠格事由のある者)を除いて、相続人全員が参加することが原則です。正当な相続人が一人でも除外された場合、その協議自体が無効となります。ただし、相続人同士が離れた場所に住んでいるなど一同に会することが困難な場合は、代表者が協議案を作成し、持ち回りで同意を求めることも可能です。
相続人の中に未成年者や被後見人がいる場合は、法定代理人(特別代理人)や後見人が代理として参加します。
行方不明の相続人がいる場合、その生死が7年間不明であれば、家庭裁判所に「失踪宣告」の申し立てを行うことが出来ます。申し立てが認められれば失踪人は法的に死亡したものとみなされ、その人抜きで(子や孫などの代襲者がいない場合)相続分割協議を始めることが出来ます。もしくは、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立て、行方不明の相続人の代理人として遺産分割協議に参加することも認められています。
死亡保険金、死亡退職金で受取人が指定されている場合は、相続財産とはならず遺産分割の対象にはなりません。なお、生命保険の受取人が法定相続人である場合、遺言書で特に指定がなければ、その保険金は特別受益であるとみなされます。
有効な遺言書があった場合でも、相続人全員が遺言書の内容と異なる遺産分割を合意した場合には、遺言書と異なる遺産分割をすることも可能です。また、遺産分割協議の結果、全員の合意があれば、遺産相続の割合は法定相続分に従う必要はなく自由に決めることが出来ます。
土地や建物などの分割方法
現金や預貯金とは異なり、土地や建物などはそのままでは分割出来ません。仮に土地を分割するとしても、登記の変更などが非常に煩雑となっています。
分割出来ない土地や建物などの遺産を具体的に分割する方法としては、次のような方法があります。
現物分割
現物のまま遺産を分ける方法です。たとえば土地は長男、定期預金は長女、現金は妻というように、現物の形をとどめたまま各相続人に分割する方法です。
代償分割
相続人の1人または数人が代表となり土地などの現物を相続し、代表者がほかの相続人に対して自分の財産から相続分相当額を支払う方法です。
換価分割
相続人の1人あるいは数人が代表となって現物を相続し、それを売却したお金で相続分ずつ分割する方法です。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、後日の紛争を未然に防止するという目的のほか、相続した不動産の所有権移転登記手続きや、相続税の申告の際に法定相続分と異なった遺産分割をしたときに必要となります。また、遺産の中に銀行預金があって、遺産分割によりこれを特定の相続人が取得する場合、銀行から遺産分割協議書の提示を求められることがあります。
遺産分割協議書には決まった書式はありませんが、作成の際は、次のような点に注意する必要があります。
・各相続人がどの遺産を相続するかを明記する
・各相続人は自筆で署名し、実印を押捺して印鑑証明書を添付する
・被相続人の名前、死亡日を記載する
・遺産分割協議後に新たな遺産が出てきた場合のために、遺産分割協議をした日時を必ず記載し、新たな遺産が出てきた場合は、その遺産について再び協議する旨を記載しておく
・不動産は登記簿謄本にある記載をそのまま転記する
・住所は、住民票に記載されているとおりに記載する
・分割協議書が1枚の用紙で足りずに複数になったときは、各用紙の間に全相続人が契印をする
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