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公益認定制度の概要と目的

公益認定制度は、公益目的を追求する法人が、公益法人(公益社団法人や公益財団法人)としての地位を得るために必要な手続きです。公益性を具備しようとする法人が所管する行政庁に対して申請を行い、公益認定を受けます。

過去には、公益法人への移行に関する手続きが民法の規定に依拠しており、その過程で主務官庁の許可を必要とするなど、設立のハードルが高く設定されていました。また、公益性を判断する基準が不明瞭であるという問題も指摘されていました。これらの問題を解決するために、平成20年に施行された一般法人法と「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(公益法人認定法)によって、法人格の取得と公益性の判断が分離されました。

新たな公益認定制度によって、法人が公益法人として認定されるためには、単に公益目的事業を行うだけでなく、より厳格な「公益認定基準」を満たさなければいけないという規定が設けられました。公益認定を受けることができる団体は、その基準に適合した組織に限られるとともに、認定を受けた法人は、公益性の高い活動を行うことが求められます。制度の目的は、公益法人の設立と運営の透明性を高めることにあります。

公益認定基準

公益法人への移行については公益認定法に規定する公益認定基準を全て満たす必要があります。公益認定基準の概要は以下の通りです

1.公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること
2.公益目的事業を行うに当たり、特定の者に対し特別の利益をあたえないものであること
3.公益目的事業に係る収入がその公益目的事業に係る費用を超えないこと
4.公益目的事業比率が50/100以上であること
5.遊休財産額が一定額を超えないこと
6.同一親族等が理事又は監事の1/3以下であること
7.会計監査人を置いているものであること(一定の場合を除く)
8.理事、監事及び評議員に対する報酬等が不当に高額とならないように支給基準を定めていること
9.公益認定の取消しの処分を受けた場合等において、規定する公益目的取得財産残額があるときは、これに相当する額の財産を当該公益認定の取消しの日等から一月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人等に贈与する旨を定款で定めているものであること 等

公益認定の手続き

認定申請

一般法人が公益法人としての地位を得るためには、その業務を監督する主務官庁からの公益認定が必要となります。主務官庁とは、法人の業務内容に応じて異なり、都道府県および内閣府が該当します。公益法人が2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合、公益目的事業を2つ以上の都道府県の区域内で行う旨を定款で定める場合、および国の事務または事業と密接に関連する公益事業目的のある公益法人の場合、申請先は内閣府となります。一方、上記に該当しない場合、つまり一般的な公益法人の場合、申請先は事務所の所在地の都道府県となります。

公益認定を受けようとする法人は「移行認定申請書」を作成します。他の手続きが比較的事務的で形式的な作業になるのと対照的に、公益認定申請では、法人の公益性を示すための詳細な情報の記載と説明が求められます。

申請前の準備

認定申請には定款の添付が求められます。申請書に添付する定款は、認定基準に合致させるための理事会の設置等の機関の変更に加え、その他の公益認定基準に適合させるための所要の変更を行う必要があります。法人においては当該定款変更を行うため、社員総会または評議員会においてあらかじめ特別決議による機関の決定を行っておく必要が生じます。

申請書および添付書類

公益移行認定申請書には、法人の基本情報、事業内容、財務状況に関する公益認定基準等を記入し、添付書類を併せて提出します。申請書は、ポータルサイト、監督行政庁の窓口および郵送での送付依頼にて入手できます。申請書には、法人の名称や住所、公益目的事業を行う都道府県の区域、公益目的事業と収益事業など、申請に関する基本情報を記入します。

法人の基本情報および組織についての項目では、連絡先、事業の概要、職員および社員数、議決権、役員および会員等、ならびに法人が行う予定の事業の詳細を記載します。また、事業一覧においては、公益事業と収益事業の別、およびその他の事業の詳細を詳述します。公益事業の場合、その公益性を明確にする必要があり、法的な公益事業の基準を客観的に満たしているかが審査基準となります。この項目では、法人の活動が公益認定の基準に適合するかどうかが確認されるため、詳細な記述が求められます。

財務状況に関しては、公益法人として満たすべき財務基準の適合性を評価するための情報を記載します。収支相償、公益目的事業比率、遊休財産の保有制限などに関する三つの要件に関する内容に関し、詳述が求められます。公益認定を受けた後も、毎年の決算でこれらの基準をクリアしているか否かにより法人の公益性が継続的に判断されます。

添付書類は、現状の定款や役員就任予定者の名簿、直近の決算書類、初年度の予算案などが含まれます。予算書に関しては公益法人会計基準に基づいた詳細な内容の作成が求められます。以下に法に定められた申請添付書類一覧を例示します。

定款
事業計画書および収支予算書
事業計画書および収支予算書に記載された予算の基礎となる事実を明らかにする書面
事業に必要とされる許認可証
財産目録
貸借対照表及びその付属明細書
公益目的事業を行う為に必要な経理的基礎を有することを証する書面
役員報酬支給基準を証する書面
登記事項証明書
役員の氏名、住所、生年月日を記載した書面
認定基準に適合することの説明書
欠格事由に該当しないことの説明書
納税証明書
その他行政庁が必要と認める書面

認定と移転登記

公益認定審査の結果、認定基準を満たしていると判断された場合は、公益認定委員会から認定書が交付され、法人は公益法人としての地位を獲得します。認定基準を満たしていないと判断された場合は、法人に対してその旨、監督官庁より通知がなされます。その場合、事業や組織の改善を行った上で、再度公益認定を申請することが可能です。団体が公益法人としての認定を受けることができない場合、一般社団法人や一般財団法人としての活動を続けるか、あるいはその活動方針を転換するという選択肢もあります。

公益認定を受けた法人は、認定を受けた日から2週間以内に主たる事務所が所在する登記所に、または3週間以内に従たる事務所が所在する登記所に、法人の名称変更を含む移行の登記を行う必要があります。移行登記を行った日から、法人は正式に公益社団法人または公益財団法人としての活動を開始することとなります。

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